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【ネット難民に告ぐ】

インターネットとは何ぞや。
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▼インターネットの備える革命的な役割とは?

情報発信ツールとして、インターネットと既存媒体のなにが違うのか。
決定的に違う点。それが安価な情報発信能力だ。
たとえば自分の思想、主張を不特定多数に伝えたいとする。今まで媒体では出版や公演など、何らかの機会がなくては事実上不可能。ところがネットではホームページ開設という手段を使うことで誰でも簡単に個人的な意見を不特定多数に主張できるようになった。
従来は何らかの裏づけや、名声を得ない限り世の中全体に訴えかけることなどできなかったものが、ホームページを通して誰にでも均等に発言の機会が与えられるようになったのだ。これが世の情報伝達媒体の概念を全て変えたと断言する。

▼個人にも対等に発言能力を与えたインターネット
誰にでも均等に発言の機会を与えたインターネットの登場。では具体的にどんな事例があるのか。ここである事例について考えてみよう。
告発サイト。これは企業への苦情や不満を、消費者個人が自分のサイトで公表するものだ。有名なのが、数年前の「東芝問題」。使用していたビデオデッキの初期不良に関して、開設者であるアッキー氏が、お客様窓口に問い合わせた際に受けた暴言や対応を問題とし、謝罪を求めサイトで公表した。いわば「マンモス企業東芝に対してたった一人の消費者が牙をむいた」のである。
従来の構図ならば、結果は火を見るより明らか。「てんで相手にならない」であるはずが、ネットの登場で必ずしもそうではなくなった。なぜなら、先にも述べたようにネットでは個人にも均等に発言の機会が与えられるからだ。
東芝問題の場合、アッキー氏のサイトが極短期間に数百万のアクセス数を記録、後に不買運動にまで発展。これを受け東芝が記者会見して謝罪をしたという結果になる。アッキー氏の勝利はインターネットがどういう媒体であり、どういうことが起こりえるのかを示した最もよい事例だろう。

▼金字塔2ちゃんねる

さらにあの有名サイト2ちゃんねるについても触れておくべきだろう。BBS形式の掲示板で、利用者の世界一多い掲示板サイトとして広く知られている。このサイトがどういうものかというのを知らない諸君のために内容を一部抜粋しよう。「●●生命の内情教えて!」「○○建設は最悪!」「敷金で困っている人どうぞ」。これらの内容に対して数百人からの書き込みがあり、しかも書き込んでいる人間は業界内部の人も多い。今までなら消費者が業界に都合の悪いことを店頭で聞いたところで、教えてくれるわけもないものが、ネットの匿名性を利用することで、いとも簡単に情報を入手できてしまうわけだ。これは、言うまでもなくインターネットにしかなせない業である。

▼インターネットにつき物の嘘・無根拠
しかし、2ちゃんねるも含めネットの情報の内容は必ずしも正しいとはいえない。何せ情報の発信元は「個人」。故意に嘘の情報や、「自称事情通」が書き込んだ間違った情報もまかり通るのだ。インターネットでは、誰でも均等に発言の機会が与えられるのと裏腹に、なんの裏付けのないものが情報として対等に扱われるという特性がある。

▼無根拠の情報の存在はネットの特性
しかしここで無根拠の情報はネットの問題点であるのか?という疑問がわく。2ちゃんねるでは、匿名の誰かが書いた「告発」や「偽情報」に対して攻撃対象となった企業から掲示板内容の削除を求め法廷に持ち込まれることが多い。そしてその都度ニュースキャスターが、「節度を持って利用しろ」などとほざいている。しかしながら、そんなものを期待するのは、全くのナンセンスなのだ。匿名性の高いインターネットにおいて、無責任な発言を日本に何千万といる全てのユーザーに自粛しろという方が現実的ではない。先の2ちゃんねる開設者ひろゆき氏の言葉に「嘘を見抜けない人は、2chを使いこなせない」というものがある。一見なんの変哲もない言葉に見えるが、「2ちゃんねる」という部分を「インターネット」に置き換えてもなんら違和感はない。これはインターネットというものの性質を見事に表現しているとも言え、いわば「名言」といえよう。2ちゃんねるに限らず、インターネット自体が誰でも対等に発言能力を付与するものであるから、無論嘘や偏見間違いも混在するのは当然なのだ。そしてこれらをユーザー側が正しい情報・嘘の情報を選別する必要があるメディアといえよう。ある程度信頼性の高い既存のメディアとは全く概念が違うのだ。


▼お部屋探し達人管理者として
ここでお部屋探し達人の問題を考えてみる。問題点とは値引き交渉ノウハウ、敷金相談所。極たまにであるが、同業者からこの部分に関して苦情が来る。業界に身をおきながら業界に都合の悪いことを書くなという趣旨であろうが、果たしてネットが登場した今、そんな話が通用するわけがない。
なぜなら、検索エンジンGOOGLEで「家賃交渉」とか「敷金トラブル」のキーワードで検索してみるとよい。既に数百という消費者のサイトがヒットし、お部屋探し達人の記述だけを問題にしたところで全く無意味なことがわかる。それどころか、先の2ちゃんねるもしかり、消費者側の発言には、あまりに偏っている記述、偏見そのものの情報が氾濫しているような状態だ。しかも、それが先の無根拠情報であろうとも、消費者のこの業界に抱く先入観は根深く、彼らがそれを嘘と見抜くことはまず不可能である。

そこで私はこう考えた。「むしろ、消費者の書いた一方的な情報を、業界側から正しく導いてやるということが重要ではないのだろうか?」と。これが私の情報に対する考え方だ。

▼消費者サイトの現状と認識
では具体的にどのような消費者側の情報があるのか。例えば敷金問題を取り扱う消費者サイトは多いが、その内容を見れば全てが「敷金は必ず戻ってくる」と。しかしながら、現実には特約の有無や、使用状況によって違うだろう。例えば業界の人ならば誰でもこんな経験をしているはずだ。「部屋は明らかに通常使用の範囲を超えてぼろぼろ。」→「借主はネットで勉強し敷金を全額返せとガイドラインのプリントアウトを持ち出す」。この構図はまさにネットの嘘・無根拠に端を発した悪循環以外の何者でもないのではないか。
その他、達人BBSでは過去1500ものユーザーのホンネを垣間見ることができた。賃貸契約にまつわる話では「○○してくれなかった=悪徳」、「審査で収入証明を求められた=悪徳」。これが消費者の抱くイメージであり本音だ。そもそもこの業界はイメージが悪いが故にさまざまな逆恨みに似た感情を抱かれることが多い。業界側の理論では消費者側の自覚も足りないといえるが、いずれにせよ賃貸借契約は対等な法律行為であるという認識を持ってもらう必要があるだろう。

▼消費者を正しい方向に導くためには
仮にお部屋探し達人から、家賃交渉と敷金問題の記述を削除、もしくは「家賃は交渉できません」とか「敷金は戻ってきません」なんてことを書き、その上で「賃貸借契約は対等な法律行為です」と書いたとしよう。しかし、現状を考えればこれはお部屋探し達人という1サイトから情報を削除したに過ぎず全く無意味。しかも業界人がいうことほど説得力0である。業界人が業界「より」のことを書いたとしても、ネットユーザーの信頼は得られず、必ずユーザーは自ら別の自分にとって都合のよいサイトを見つけだし、業界よりの情報だけを載せたサイトなど二度と訪れないだろう。業界にいる私が、ある程度消費者の信頼を得るためには、その内容をある程度認めた上で正しい知識を与えなければ、消費者との溝は深まるばかりである。
そこで下記の結論に達し、これをもって苦情をいう同業者への反論とさせていただく。
<U>お部屋探し達人のコンセプトは「消費者との溝を埋めたい」。そして、これを達成するために記述した「業界に都合の悪いコンテンツ」は既に述べたインターネットの概念より、いまさら業界に影響を与えるものではない。

なお、ここまで説明しても納得いかんという人はどうぞご自由に自分でサイトを立ち上げてご自分の考えを主張していただきたい。情報発信の機会は誰にでも均等に与えられているのだから。

▼インターネットは書籍の概念をも変える
お部屋探し達人が出版した「もう後悔しないぞ部屋探し」に関しても触れておく。ネットはどんなことを書いてもたいした影響力はないからよいが、出版物となるとだめ!と来ることを予想して予め反論しておく。
さて、基本的に本のコンセプトはサイトと同じである。家賃交渉の記述のある傍ら、借主側に自覚を促す記述が多数織り込まれている。影響力という点では、以下の数字をもって考えていただきたい。お部屋探し達人は二年間で150万アクセスを達成した。これに対して出版した本というのは「7000部」だ。7000など、今のお部屋探し達人にとってはたったの2日かからず達成できる。既に影響力は「書籍」≪「インターネット」であることは明白。であればここまで書いたネットの理論(上記お部屋探し達人コンセプト)が既存の書籍出版の概念をも変えて移行できることは言うまでもない。

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